ーそんな資格があるのかなって思うとうなずけないー




目の前にいる憐は確かにそういった。



それは憐が私を遠ざけた瞬間だった。



「そんなこと…気にしなくていいんだよ、憐。」

「そんなことじゃないよ。
少なくとも俺が香那のことを傷つけてたって真実は変わらないんだ。
たとえ、俺の存在が香那の支えになっていたとしても。
あの時、ちゃんと香那に話をつけてから留学してたら変わったかもしれない。
ここまで香那を傷つけなくても、悩ませなくてもよかったのかもしれねぇんだよ。
そう思うと、そばにいてなんて。
そばにいてほしいなんて…。
図々しくて言えないだろ。」



そんな憐は下を向いてただ悔しそうな顔を見せた。




憐。




そんなに自分を責めないでよ。




そんなことないよって。




図々しくなんてない。




私がそばにいたいだけなんだよ。





だからいさせてほしいの。




そういってあげたかった…。




だけど、憐のこんな悔しそうな顔。




初めて見た。




こんなに自分を追い込んで、自分を責めている憐。




そんな表情を見せられたら…私は何も言えないよ。




結局本当の気持ちは何も口に出せないままだった。