何度も帰ろうと思った。




日本に戻って、普通に学校へ行って、普通に就職して。




サッカーのない生活。




それでも、そんな生活でもいいんじゃないかって…。




憐は追い込まれていたんだ。




いつしかサッカーが好きだったのに、そのサッカーに縛られるようになっていた。




サッカーにとらわれすぎなくてもいいんじゃないか…。




そう思ったけれど、そのたびに私との写真を見たという憐。


「香那の存在を知ったのはちょうど壁にぶち当たったときだったんだけどさ。
香那がNew Daysでデビューしたとき。
その時の香那は俺が知っていた時の香那じゃなくて。
一人のシンガーで一人の大人の女性だった。
大人の女性になってて、香那が全く違う人に見えた。
香那の歌声もあの時と比べものにならないぐらい、凄くてさ…。
だって海外まで届いてきたんだぜ。
それぐらい、大きくなってる香那を見ていたらこんなところで弱音を吐いてる自分が恥ずかしくなったんだ。」