君の隣




「詞が書けない?」

「はい。
何を書いたらいいかわからなくて…。」

「うーん。」



ある日の仕事終わり。



いつも作詞をやってくれてるメンバーの一人に相談してみた。



彼は少し考えて、落ち着いた声で言った。



「初めてだと何を書いたらいいか。
ちゃんとした言葉で書かなくちゃって思いがちだけどさ。
詞ってようは書き手の思いを形にしたものなんだよね。
文章って見える形に。
だからかっこいい必要なんて別になくていいし。
ちゃんとした言葉でなくたって構わない。
香那が書きたいように書いたらいいんだよね。
そうだなぁ…
しいて言うなら



ー日々の中にヒントは隠されているんだよー


だから普通の生活をしながらさ、なんか情報を得てみなよ。」



メンバーからの言葉通りに私は今まで目を向けていなかった周りに少し目を向けてみることにした。