それから少しずつ。



あの歌をきっかけに今のバンドメンバーに出会って、この音楽生活が出来上がった。



あの日から私は憐からの手紙を開けていない。



それはあまりに苦しくて、悲しかった思い出だから心の底に封じ込めているからだ。



「なぁ、香那。」

「うん?」

「ここ、こう歌ってほしいんだけど…。」

「あーうん。
わかった…。」




今日も私はスタジオでのレコーディングをバンドメンバーと行う。




あの日から数年が経ち、私は高校生へとなった。



数年が経っても、憐からの連絡は何もない。



それでも私は探してる。



憐、あなたは今どこで笑っているのだろうか。



サッカーをまだ続けているのだろうか




一度でいい。



私の願いはただもう一度あなたに会いたい。




ただそれだけなんだ。