黄昏の千日紅






その日は体調があまり優れなかったのだけれど、ただの風邪だと思い、あまり深く考えなかった私は、家の近くの散歩コースをハチと歩いていた。




ずっと眠ってしまっていた為、いつも夕方に行く筈の散歩は、すっかり空が暗闇に包まれてからになってしまった。





私の住む近所の田舎の道は、夜になると人通りが全くなくなり、人と出会す事は滅多にない。





コースを回り、もう少しで家に着くという頃、突然、胸の辺りが鋭く痛み、酷く心臓が張り裂けそうな感覚に襲われた。




そのまま立っていられなくなった私は、その場に崩れ落ちるように倒れ、ずっと胸の辺りを強く掴み、声を洩らしていたと思う。



苦しくて、呼吸が出来なくて、喉の奥が火傷を負ったかのように、猛烈に熱かった。



意識はあったが、痛みに堪えるのに必死で、何にも考えられなかった。



ふと頭の隅で、このまま私は、道の真ん中で死んでしまうのではないかと考えた。