黄昏の千日紅






最初は上にいきたいと思った。
まだまだこの世で生きたいと願った。



だが、私はもしかしたらハチに会えるのではないかという期待と、罪悪感から下へ下へと向かって行った。



下へは簡単に進めた。



進む度にとても重々しい空気に変わり、息苦しくなっていくのが分かったのだけれど。



私は進むことを止めなかった。



暗闇がますます闇に包まれて、誰か、沢山の人達が私に手を伸ばしているようだった。沢山の人達が私を呼んでいるようだった。


私の背中を、強く誰かが押しているかのように、前へ前へと自然に進めた。




けれど、突然遠くから聞こえてきた。
微かだったけれど。






「上からハチの声が聞こえたの」






人間の言葉だった。
けれど、私には分かった。
あれは、確実にハチの声だった。






「…何て言ってたの?」



私は偶に落ちそうになる瞼を、必死に保ちながら、ハチの言葉を思い出す。


綺麗な、透き通った声だった。





「…こっちだよ、って」