私は、
聖愛学園(せいあい)中等部一年
愛沢 琴音(あいざわ ことね)
それは、とても一言では言い表せない夏だった。その前の去年の夏もなんとも言えないとてもむず痒い夏だった。

〜去年の夏〜

あと、1ポイント、あと1ポイントで優勝なのに……………………
私はその時スタンドから応援していた。まだ、小学6年生だった私は姉の愛沢 優を見つめあと少しで優勝だと、祈りながら……………その日は平均30度をゆうに超える気温だった。みんな汗を流しながら応援していた。テニス全国決勝。そこまでのポイントは2対2。今は、ラストゲームとなるシングルス1の試合。そして姉のサーブ……それで決まるハズだった。なのにそれでは決まらなかった。サーブを打とうとした姉の体が揺らぎ倒れた。私は、スタンドから身を乗り出し姉の名前を必死に呼んだ。でも、優は倒れたままで………………
スタンドそして、コートの周りでは騒めく人々が行ったり来たり。姉を救護班の人達が何処かへ連れていく。そしてその後………無情にも相手の学校の優勝ということが決まった。優は熱中症という事だった。そして優は自分を責め公立校に移り引きこもるようになった。私はそれを甘んじた仕方ない事だと。

そう、去年の夏、聖愛学園中等部は、優勝を逃した。姉の熱中症というなんとも言えない理由で。