『え～本日は暖かい春の陽気に包まれてとても穏やかな…』

今日は私立明治白金高等学校の入学式。
第一希望の格好に見事合格した私は入学式を待ち待っていたのだが、小学生の時からいつも校長の話は決まって長い。
その長話と春の温かい空気のせいでだんだんと眠気が襲ってくる。

体育館に規則正しく並べられたパイプ椅子。
私の苗字は中澤。
隣は私がずっと前からあこがれていたアイドルの中崎悠馬くん。
ここ私立明治白金学校は、別名プラチナ学園と呼ばれていて、アイドルの卵や現役のアイドルを育成するとして名高い日本でも5本の指に入るくらいの芸能学校なのだ。

私はついに眠気に耐えられず、かくん。と悠馬くんに寄りかかるように首が折れてしまった。

『愛佳ちゃん、そろそろ起立だよ』

そんな聞き覚えのある声が耳元から聞こえてきて目が覚めた

『ん ～？』

寝ぼけたまま声のしたほうを振り向くと悠馬くんの顔が見えた

『愛佳ちゃん大丈夫？
　ほら、起立だよ』

そういって悠馬くんは手を差し伸べてきた

『ん？うん？』

寝ぼけた私は特に何も考えずに差し出された手をぎゅっと握った。

そのとき悠馬くんのかおが少し赤く染まったように見えたのはきっと今となっては本当に照れていたんだと思う。