「き…昨日は、ありがとうございました!」
心臓の音がうるさくて私の口から出たであろう言葉は私の耳には届かなかった。

井上先輩はニッコリ笑うと
「気にしない~。気にしない」

それからポンポンと私の肩を叩き、脇をすり抜ける。

あ…あれ??

「ね!キスしょっか?」

な?!

先輩は私の後でまた別の女の子に声をかけている

「気にしない方がいいわょ。彼はいつもそうなんだから。お気に入りはコロコロ変わる」
唖然と立ち尽くす私に…
いつの間にか昨日のキスの相手だった女の人が隣にいた。

「お姫様は沢山いるけど王子様は自分独りだけだから大変なんですって」

呆れたような顔をしている。



こんなバカな男をちょっとだけイイ。と思ってしまった自分が情けない…

と同時に怒りが込み上げてきて…私は走り出していた。

「先輩!」

「私は赤ずきんちゃんなんかじゃありませんから!」

それから思いっきり先輩の股間を蹴りあげ…のたうつ先輩に

「女の子を大切に出来ない先輩は。王子様なんかじゃなく!狼です!」


あ~ すっきりした。