そして口にゆっくりとケーキが運ばれた。



「おいしい?」

涼夜くんが優しく笑いかける。

「う、うんっ!おいしい♪」

はっきり言えば
緊張して味なんてわからなかった…


涼夜くんがじっとわたしを見てる。


次はわたしの番だ…


そう思った……

演技だってわかってても
すっごく恥ずかしい…


だ、だけど





なりきりたい!





だって今はわたしが彼女なんだから…


わたしがしっかりしないと!


わたしは小さく深呼吸した。



「涼夜もケーキ食べる?」
わたしは笑顔で話しかけた。

「…あぁ。……じゃあ彩咲が食べさしてよ」

涼夜くんが笑って口を開けた。

「…しかたないなぁ。涼夜は」

そう言って笑顔を作った。
そして口にケーキを運んだ。


「おいしい?」


わたしが聞くと


「…あぁ。おいしいよ。すっごく」


涼夜は優しく微笑んでくれた。



その笑顔を見ると
何だかすごく安心できた。


演技だってわかってるのに
ホントに彼女になれたみたいですっごくうれしかった。







うれしかったんだ………。