丸っこい爪が、肌を裂こうと食い込む。 ヒュ、という息が漏れる。 涙でボヤけた視界には、茶色い蛍光灯の光と、黄ばんだ本の並びがうつる。 床に落ちた本。 私の読んでいたページが捲れる。 そのページのむこうは白紙だった。 「……続きを書かないとねぇ」 私の後ろで黒い影が、ニタリと笑った。 END.