特別班の部屋で一人、事務作業をするのは本当に久々だ。
はじめは窮屈でしかたがなかったけれど、一度『カントク』の仕事をしてみて仕事で広がる世界があるんだと思い知らされた。
受け入れたい気持ちと裏腹にやっぱりちゃんとした部署で普通に仕事をしたい自分もいる。
「慣れたか? 椎名」
と、髪の毛を少し逆立てている戸塚さんがわたしに話しかける。
昼休みが過ぎ、夕刻の時間に近づいた頃、気がつけば黒服の二人が特別班の部屋に来て、わたしの左隣には戸塚さん、右隣には鈴井さんとわたしをはさんで座っていた。
「慣れたもなにもわたしはただ見守っていただけで」
「少しは『カントク』気に入った? 椎名サン」
ルーズな黒髪のパーマをかけている鈴井さんが話してきた。
「まだわかりません」
「でも、大上部長のことは考えを改めたんじゃないかな」
軽い口調で話すのは鈴井さんだ。
「そんなことありません。あのひとのことなんて」
「おい、椎名。部長のこと、悪くいうもんじゃないよ」
戸塚さんは少しだけ声を荒げた。
「僕たちは大上部長に救われたんだから」
「え、戸塚さんも鈴井さんも、ですか」
「ああ、もちろんだ」
戸塚さんが強い口調でいうと、鈴井さんは首を縦に振った。
「俺たちはここと似た会社で働いてた。部長の傲慢で理不尽な態度に怒ってね。思いっきり殴ってやろうかって、キレる寸前だったところを取引先だったこの会社の営業担当者に止められた。その人が大上部長だ」
透き通るような目をしながら、戸塚さんの口からそんな告白きかせられるとはおもってもみなかった。
それを聞いていた鈴井さんも昔のことを思い返してか、唇をかんでいた。
はじめは窮屈でしかたがなかったけれど、一度『カントク』の仕事をしてみて仕事で広がる世界があるんだと思い知らされた。
受け入れたい気持ちと裏腹にやっぱりちゃんとした部署で普通に仕事をしたい自分もいる。
「慣れたか? 椎名」
と、髪の毛を少し逆立てている戸塚さんがわたしに話しかける。
昼休みが過ぎ、夕刻の時間に近づいた頃、気がつけば黒服の二人が特別班の部屋に来て、わたしの左隣には戸塚さん、右隣には鈴井さんとわたしをはさんで座っていた。
「慣れたもなにもわたしはただ見守っていただけで」
「少しは『カントク』気に入った? 椎名サン」
ルーズな黒髪のパーマをかけている鈴井さんが話してきた。
「まだわかりません」
「でも、大上部長のことは考えを改めたんじゃないかな」
軽い口調で話すのは鈴井さんだ。
「そんなことありません。あのひとのことなんて」
「おい、椎名。部長のこと、悪くいうもんじゃないよ」
戸塚さんは少しだけ声を荒げた。
「僕たちは大上部長に救われたんだから」
「え、戸塚さんも鈴井さんも、ですか」
「ああ、もちろんだ」
戸塚さんが強い口調でいうと、鈴井さんは首を縦に振った。
「俺たちはここと似た会社で働いてた。部長の傲慢で理不尽な態度に怒ってね。思いっきり殴ってやろうかって、キレる寸前だったところを取引先だったこの会社の営業担当者に止められた。その人が大上部長だ」
透き通るような目をしながら、戸塚さんの口からそんな告白きかせられるとはおもってもみなかった。
それを聞いていた鈴井さんも昔のことを思い返してか、唇をかんでいた。

