恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜

月曜日、新しい部長や社員を招いて引き継ぎを行った。
形の上では大上部長は責任をとるということで部署内異動を命ぜられた。
わたしとあおいさんも紙の上では篠崎グループ傘下の会社へ異動になっている。
鈴井さんと戸塚さんは後任の引き継ぎまで残って作業するとのことだった。
森崎さんと安田さんの姿がない。
すでに別々の子会社へ異動していた。

「せっかく業務が起動に乗ってまとまろうとしていたところだったのに」

と、大泉さんが残念がっていた。

「大泉さんがしっかり部をまとめてあげて」

見かねた大上部長は優しい言葉を投げる。

「はい」

大上部長がにっこりと微笑むと、安心したのか、ハキハキとした返事をかえしていた。

「部長に褒められたね」

「椎名さん、本当にありがとう。これからも仕事、頑張る」

「別の部署にいっても応援してるよ」

大泉さんの若々しい笑顔に少しだけ心が洗われた気分だった。

荷物を運ぼうとエレベーターに乗ろうとして廊下を出ようとしたときだった。
ドアを挟んだエレベーターホールで大泉さんと大上部長が立ち話をしていた。
そっとドアを開けて隙間からエレベーターホールにいる二人を覗き見る。
「大上部長のこと、好きかなって」

その突然すぎる告白に持っている荷物を床にこぼしそうになった。