恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜

「結論からいえば、お二人にも反省していただきたい」

「部長なんだから部下の責任を負うのが普通じゃないのか」

と、得意げに森崎さんはいった。

「勝手に行動してこういう結果になったというのは、私の監督が至らなかったことが原因です。ですが、同じ部署として報告と相談がないのはどういうことでしょうね」

淡々とした口調で大上部長は話す。

「あ、あいつが仕掛けたんだよ。安くやるっていうから」

「それも報告のひとつだと思いますが」

と、大上部長は森崎さんをにらんだ。

「よかれと思ってやっただけで」

「私を陥れるつもりだったんですが、残念ですね」

森崎さんは何もいえず、顔をしかめた。

「そういえば、いつもお二人仲良く打ち合わせにいっているようですが、何をしにでかけているんでしょうかね」

「別に関係ないじゃないですか」

安田さんが今度は甲高い声で反論した。

「これでもまだ白を通そうとしているんですか?」

と、大上部長はスーツの内ポケットから一枚の写真を机の上に置いた。
この小さな会議室だろうか。
奥に積まれた机と椅子の間で森崎さんと安田さんが抱き合い、キスをしている写真だった。

「悪趣味か、君は」

「いいえ、悪趣味ではありません。社員を管理することが我々の業務の一環だ」

森崎さんは口をとがらせ、髪の毛をかきむしっている。

「さて、森崎さん、どういうことかご説明してもらいましょうか? 時計も写り込んでますね。どうやら業務時間内ですけど」

壁に設置された時計が昼の3時を指している。下にオレンジ色の印字された日付と時間が同じ時刻を示していた。

「安田さんも同罪ということでよろしいですね」

「……はい」

「よって、この件について上へ報告する」

「大上部長、それだけは勘弁してください!」

二人は大上部長に懇願している。
大上部長はその姿をみようとしない。

「会社の利益のため。その前に一番は真面目な社員のためだ」

二人ともがくっと肩を落としている。

「さて、どうしてこうなったか最初からご説明願いますか」

大上部長の顔が凛々しくみえた。