恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜

もし仮にシーエヌリテーリングと取引停止になった場合、この部署はもちろん、他の部署に悪影響を及ぼす危険性がある。
篠崎グループの会社に影響が出るともっと話がややこしくなる。

「安く引き受けるっていったじゃないですか!」

重苦しい空気を一蹴するように森崎さんが大声で話す。

「取引停止ってどういうことですか?」

安田さんはそういいながら上半身を起こし、にらみつけるように横尾さんに顔をむけている。

「類似した商品があって、そこの会社と問題がある。ウチの部で会議にあがってね。難色を示している」

「そんな……」

安田さんが頭をかかえている。

「別会社を当たってもらうか、商品取引の停止を受け入れるか」

「どうにかなりませんか? 取引停止だけは勘弁してください」

森崎さんが焦りながら横尾さんに説得をしている。

「困りますよ、揉め事作ってしまったら、おたくの会社のイメージが潰れてしまいますよ。そうなると、他の取引会社も手をひくことになりますが、どうなされるつもりなんでしょうか」

横尾さんは森崎さんと安田さんを交互に見やっている。

「そ、それは」

森崎さんは言葉につまり、こうべを垂れた。

「それでは失礼します」

横尾さんが帰っていく。
会議室を出るとき、ちらりとわたしを見てドヤ顔を決めて出ていった。

横尾さんが立ち去ったあと、しばらく沈黙が続いた。

「さあ、どうしましょうね」

と、あおいさんがぼそっとつぶやく。

「私が責任をとりましょう。そのかわり、提案があります」

大上部長は鋭い目をして、机の上に両肘をつき、手を組むと森崎さんと安田さんの二人をにらんだ。