恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜

「森崎さんと安田さんは売り出したい商品を考えてきたんですか?」

大上部長は立ち上がり、両手を机に置いて横にすわる森崎さんと安田さんをじっとみている。

「別にやらなくても既存の商品が売れてるからいいじゃないか、なあ、安田くん」

「私も森崎さんの言うことで間違いはないと思っています」

二人ともに顔を見合わせながら大上部長の意見にはまったく耳を貸そうとしない。

「部長になったからって器がでかくなったっていうのが見え見えなんですよ」

退屈そうに森崎さんは机の上で頬杖をついている。

「器がでかいですか。そうですかね」

「最初から森崎さんにすべて任せてくれたらこんな時間潰しにならなかったと思いますけど」

安田さんの冷たい反撃にわたしを含め、他のメンバーは黙って聞いていた。

「そうですか。わかりました。また策を考えますよ。今日はこれで」

諭すように大上部長が会議の終了を告げ、商品企画の会議が終わった。

会議が終了し、小会議室から自分の席へ戻る際だった。
森崎さんと安田さんは自分の席ではなく、フロアから外へ出ようとしていた。

「あの、どこへ行くんですか」

「ちょっと打ち合わせだ。大上部長に伝えておいて」

「ちょ、ちょっと」

そういうと、森崎さんは安田さんを引き連れていってしまった。
大上部長が遅れて席に戻ったとき、

「森崎さんと安田さん、打ち合わせで席をはずすそうなんですが」

「わかった。残ったものたちだけで仕事をしよう」

と、やっぱり穏やかな口調でわたしに言って他の人たちも各自の仕事に戻っていた。

どうして森崎さんと安田さんはここまで大上部長やわたしたちを敵に回そうとしているんだろう。

せっかく考えてきたものを笑うなんて。
確かに商品企画は初めてだったから却下されるのも無理ないと思っていたけれど。