スマホの目覚ましで目がさめる。
壁が至近距離にあって圧迫感のあった部屋から、大きなベッド、そしてきれいな白い壁に天井からカーペットまでに伸びる高級なカーテンが目に入る。一人では広すぎる部屋にいることに戸惑ってしまう。
ベッドから降りて、ここはホテルなんだ、と厚手のカーテンを開けると、目の前には夜景とは違った少しだけ朝靄がかかる風景へと変化していた。
いつもならギリギリまで寝て適当に着替えて満員に近い電車に乗り込んで吐き出されるように会社へ着くことを繰り返してきたのに。
そろそろ支度をしようかな、と思っていたところで部屋のチャイムが鳴り、出てみると、黒いワンピースに白いエプロンをつけた女性ホテルスタッフがいた。
「ブレックファーストをお持ち致しました」
「あ、あの頼んでないんですけど」
「ご注文承っておりますよ。大上様より」
「……え、そうですか」
女性スタッフが手際よく窓際にあるテーブルに白いテーブルクロスを敷いてパンとスープ、ベーコンエッグ、コーヒーにミルクといった朝食を設えてくれた。
これでますます大上部長に対して文句が言えないと思いつつ、出来立ての朝食を頬張り、着替えを済ませて下の階へと降りていった。
「おはようございます」
特別班のドアを開くと、今日は珍しく入り口近くに横尾さんの姿があった。
さすがに昨日はいろいろとあったし、一応社会人の身でもあるからしっかりしないと。
わたしの様子をみて、あおいさんはニコっと微笑んで挨拶をしてくれた。大上部長は昨日とは打って変わっていつものクールさのままだった。昨夜いろんなことをしでかしているはずなのに、本人は何事もなかったかのようにあしらってくれている。
「満足そうだな、椎名萌香」
「え、いや、その……」
嫌味を言うのもわかっていたけれど、さすがにぐうの音も出ない。
わたしの気持ちもよそに、大上部長は席をたち、中央に置かれたテーブルへと向かう。
「ミーティングを開始する。無事に整ったので新しいプロジェクトを行う」
皆が一斉に席につくので、あおいさんの隣の椅子に腰掛けた。
「よかったわね。萌香さん、お仕事が入ったわよ」
「仕事、ですか?」
とうとう『カントク』としての初めての仕事が始まる。
壁が至近距離にあって圧迫感のあった部屋から、大きなベッド、そしてきれいな白い壁に天井からカーペットまでに伸びる高級なカーテンが目に入る。一人では広すぎる部屋にいることに戸惑ってしまう。
ベッドから降りて、ここはホテルなんだ、と厚手のカーテンを開けると、目の前には夜景とは違った少しだけ朝靄がかかる風景へと変化していた。
いつもならギリギリまで寝て適当に着替えて満員に近い電車に乗り込んで吐き出されるように会社へ着くことを繰り返してきたのに。
そろそろ支度をしようかな、と思っていたところで部屋のチャイムが鳴り、出てみると、黒いワンピースに白いエプロンをつけた女性ホテルスタッフがいた。
「ブレックファーストをお持ち致しました」
「あ、あの頼んでないんですけど」
「ご注文承っておりますよ。大上様より」
「……え、そうですか」
女性スタッフが手際よく窓際にあるテーブルに白いテーブルクロスを敷いてパンとスープ、ベーコンエッグ、コーヒーにミルクといった朝食を設えてくれた。
これでますます大上部長に対して文句が言えないと思いつつ、出来立ての朝食を頬張り、着替えを済ませて下の階へと降りていった。
「おはようございます」
特別班のドアを開くと、今日は珍しく入り口近くに横尾さんの姿があった。
さすがに昨日はいろいろとあったし、一応社会人の身でもあるからしっかりしないと。
わたしの様子をみて、あおいさんはニコっと微笑んで挨拶をしてくれた。大上部長は昨日とは打って変わっていつものクールさのままだった。昨夜いろんなことをしでかしているはずなのに、本人は何事もなかったかのようにあしらってくれている。
「満足そうだな、椎名萌香」
「え、いや、その……」
嫌味を言うのもわかっていたけれど、さすがにぐうの音も出ない。
わたしの気持ちもよそに、大上部長は席をたち、中央に置かれたテーブルへと向かう。
「ミーティングを開始する。無事に整ったので新しいプロジェクトを行う」
皆が一斉に席につくので、あおいさんの隣の椅子に腰掛けた。
「よかったわね。萌香さん、お仕事が入ったわよ」
「仕事、ですか?」
とうとう『カントク』としての初めての仕事が始まる。

