恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜

順調に仕事も進み、集中しているところで、急に物音がなく、静かになる。
大上部長が頬杖をつきながらこちらを伺っていた。

「どうかしましたか?」

「別に」

そういってメガネのフレームを持ち、直しながら紙の資料の束を読んでいた。
伝票入力を進めているところでまた視線を感じて、くるりと大上部長に顔をむけると、やっぱりのぞいている。

「そんなに気になります?」

大上部長は今度は何もつぶやかずに資料に目をやっている。
何がそんなにわたしのこと気になるのか、と思いつつも目の前にある仕事を終わらせようとせっせと仕事を進めていた。

「昼休みだ」

と、大上部長がぶっきらぼうにいうと、入力の手を休めた。
大上部長は立ち上がり、わたしのもとへと近づいてくる。

「大上部長が戻ったらお昼に出ます」

と伝えると、わかったと少しトーンを低くした声で答えて大上部長は出ていった。
シンと静まり返る部屋に一人になり、ようやく息ができると深呼吸をする。

今いるこの部屋の上がわたしの部屋になるなんて。
嬉しい反面、その後にはそれ相当の代償が伴うんだろうか、と考えただけで不安になる。

一体、どんな仕事が待ち受けてるんだろう。
ホテルの一室ってことは、もしかして。

昼日中なのに、ぐるぐると夜の艶めいた出来事が頭のなかを駆け巡る。

妄想のなかのわたしは身ぐるみ剥がされて……。

ガチャっと強めな扉の開けた音に身体をびくつかせる。
大上部長が、何かあったのかと目を丸くし、わたしの顔をみながら部屋の中へ入ってきた。

「どうした? そんな慌てて」

ますます大上部長に対して不審が広がる。

「お昼、外出てきます」

「ああ」

と、大上部長の一言話す声を聞いて、逃げるように部屋を出た。