恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜

伝票処理を集中して行っていたおかげで気持ちを切り替えて仕事ができた。
ダンボール箱に押し込められていた伝票たちが取り出され少しずつ未処理のものが減っていくことに快感を覚えていると、気がつけば昼休みに入っていた。

大上部長は立ち上がり、わたしの座る椅子の右隣に立つ。
威圧感がすごすぎるので無視して机に散らばった伝票の整理をしていた。

「昼だ。メシは?」

大上部長に見下ろされて食欲もあったもんじゃない。

「……いいです」

「わかった」

そういうと大上部長は、わたしを残してさっさと部屋を出ていってしまった。

ひとりっきりのこの部屋はとても広く感じた。
さっきまで窮屈に感じていたのに。

前日、これほど底辺な部署へ異動が決まり気持ちが萎えていたのに、いざ出社してみると会社の裏組織みたいなところに配属されるなんて夢のようだ。
さらにその組織の中枢メンバーのひとりになっているものだからますます夢か現実かわからなくなりそうになった。
大上部長のキスのせいでこれは現実だっていうのが肌、いや唇で感じさせられたんだから。

処理済みの伝票を仕分けして立ち上がる。
昼休み、外へ出たとしても絶対同じ部署だった人たちに見つかって勝手に哀れみの言葉を投げかけられるのがオチだ。