「俺はね、社長に拾われただけ」
「そうなんですか?」
横尾さんは目を細めてにっこりと微笑んで頷いていた。
「小さな下請け企業の社長やっていたけど、ライバル社にどんどん仕事をとられちゃってね。従業員共々路頭に迷ったんだけど、取引先だった篠崎さんが手をかしてくれてね。ここの課に入れてもらったんだ」
「で、会社は?」
「息子がなんとか跡を継いでくれてる。で、表向きは警備員として働いてるけど、もちろんカントクのことは社内はもちろん社外には秘密だからさ」
「……そうなんですね」
「篠崎さんには感謝してもしきれない。椎名さんは社長にどう見初められたんだろうね」
「どうなんでしょうね。わたしがここに適任というのが嘘のようで」
横尾さんは特別な事情で社長がカントクにいれたわけでしょ。
わたしの場合は社長が目をつけるようなひっかかるものは持っていないと思う。
何度考えてもカントクに異動になったのが嘘みたいだ。
「そうかな? きっとちゃんとしたきっかけがあったからスカウトされたんじゃないのかな」
「きっかけ、ですか」
「しかし、あんなに狼くんに刃向かうなんてね。そんな感じしないんだけど」
とじろじろとわたしをみてくる。
て、それよりも大上部長のことを狼くんだなんてあだ名をつけるとは。
確かに狼くんかもしれない。だってあの夜、キスしたぐらいだから。
「そこがよかったのかな。裏で動くんだからさすがに派手すぎても目をつけられちゃうと困るわけだし」
確かに目立たぬように地味に統一している。
だからってそれで採用されたなんて信じられない。
「狼くんはね、敏腕だよ。狼くんに吠えたこと、あとで後悔するかもね」
「え、どういうことですか」
「みてのお楽しみってこと。これぐらいにしておこうか。おいおい仕事をしていけばカントクのよさがわかってくるよ。狼くんのことだってわかるだろうし」
そういって横尾さんは踵を返し、扉まで歩きはじめたのでわたしも横尾さんの後ろを追いかけながら歩いた。
「そうなんですか?」
横尾さんは目を細めてにっこりと微笑んで頷いていた。
「小さな下請け企業の社長やっていたけど、ライバル社にどんどん仕事をとられちゃってね。従業員共々路頭に迷ったんだけど、取引先だった篠崎さんが手をかしてくれてね。ここの課に入れてもらったんだ」
「で、会社は?」
「息子がなんとか跡を継いでくれてる。で、表向きは警備員として働いてるけど、もちろんカントクのことは社内はもちろん社外には秘密だからさ」
「……そうなんですね」
「篠崎さんには感謝してもしきれない。椎名さんは社長にどう見初められたんだろうね」
「どうなんでしょうね。わたしがここに適任というのが嘘のようで」
横尾さんは特別な事情で社長がカントクにいれたわけでしょ。
わたしの場合は社長が目をつけるようなひっかかるものは持っていないと思う。
何度考えてもカントクに異動になったのが嘘みたいだ。
「そうかな? きっとちゃんとしたきっかけがあったからスカウトされたんじゃないのかな」
「きっかけ、ですか」
「しかし、あんなに狼くんに刃向かうなんてね。そんな感じしないんだけど」
とじろじろとわたしをみてくる。
て、それよりも大上部長のことを狼くんだなんてあだ名をつけるとは。
確かに狼くんかもしれない。だってあの夜、キスしたぐらいだから。
「そこがよかったのかな。裏で動くんだからさすがに派手すぎても目をつけられちゃうと困るわけだし」
確かに目立たぬように地味に統一している。
だからってそれで採用されたなんて信じられない。
「狼くんはね、敏腕だよ。狼くんに吠えたこと、あとで後悔するかもね」
「え、どういうことですか」
「みてのお楽しみってこと。これぐらいにしておこうか。おいおい仕事をしていけばカントクのよさがわかってくるよ。狼くんのことだってわかるだろうし」
そういって横尾さんは踵を返し、扉まで歩きはじめたのでわたしも横尾さんの後ろを追いかけながら歩いた。

