恋する任務は美しい〜メガネ上司の狼さんと訳あり隠密行動〜

「事業部長のパソコンを動かせないように警告表示を画面いっぱいにさせてみたんだけどね」

事業部長が椅子から転げているところにパソコン画面が見えていた。
横尾さんは事業部長のパソコンへカメラをズームアップさせると真っ黒な画面に白い文字で『エッチな画像はおうちに帰ったら』というおちょくった文章が躍っていた。

「あのやる気のない事業部長を動かすにはちょうどよかったですよ」

「椎名さんの仕事ぶりはわかっているから。これで少しはスカッとした?」

「……少しは」

「見ての通り、ここの仕事は会社内を管理監督する場所。仕事をさぼっている人にカツをすることはよくあって、こんなささいな事に関してはこの班の各担当者が対処している。ボクらも手がすいているときは手伝うんだけど、ボクらはだいたいはもう少し複雑な事案を動いているんだ」

モニター画面の青白い光に照らされた横尾さんの顔は守衛室でみせるような退屈そうな顔ではなく、きりっと渋い顔つきをしていた。

「ちなみにボクらはここにいる作業班ではなく、黒いIDカードを持つ特別班ね」

と、横尾さんはモニターの光にさらされた、わたしの首から下げている黒いIDカードを示した。
顔写真の隣に小さく特別班と印字されていた。

「光栄に思わなきゃ。見事、椎名さんが選任されたから、ここにいるわけだし」

「選任?」

「もちろん人事が決定したけれど、最終判断は社長命令だからね。社長の思いつきにも参ったもんだけど」

と、横尾さんは椅子から立ち上がり、ちょっと部屋から出ようか、とこの薄暗い部屋から重い扉を開けて廊下へと連れ出してくれた。