異動が決まって一週間は後輩や先輩たちへ今やっている仕事の引き継ぎをした。
仕事をしている最中、みんな涼しい顔をしている。
わたしがカントクにいくことにさぞ満足そうな顔つきで気持ち悪く感じた。
津島なんて、わたしとの関係が清算できてうれしいらしくて男性の先輩たちにわたしが引き継ぎの仕事をしている横で堂々と新しい彼女の自慢をしていた。
そんなことにいちいち反応しない。
悲しい顔、つらそうな顔はしない。
そう自分に言い聞かせ、平然とした態度で応戦する。
異動が決まった一週間後の当日の朝、事業部のみんなから挨拶があった。
「カントクへいってもあなたの味方だからね」
と同じ部署の人たちからは労いの言葉をかけられるけれど、全員嘘くさかった。
給湯室、女子トイレで聞かされた歓迎の言葉は一生忘れない。
部長にいたっては、カントク行きの鍵だと一本の銀色の鍵を渡し、向こうでも頑張ってとのんきに答えただけだった。
ダンボール1個に無造作に荷物をまとめて出て行く。
誰も泣きも引き止めもなく、社員たちは皆自分の仕事をはじめているのをみながら普通に部屋を出る。
こんなにみんなに尽くしてきたはずなのに。
悔しくなって泣きそうになるところを奥歯を食いしばって廊下を歩く。
エレベーターホールにつき、ダンボールを持ったまま下がるボタンを押す。
すぐに誰も乗っていないエレベーターがやってきて飛び乗った。
行き先は地下5階。
1階エントランスホールに降り立ち、受付の前を通ってお客と親しく話す野村加奈を横目でにらみをきかせつつ、地下専用のエレベーターのある隣のエレベーターホールへといき、地下5階のボタンを押した。
地下5階は地下駐車場に隣接された事務所らしい。
地下5階につくと、やっぱり目の前には窓はなく、無数の換気口のプロペラがむなしく回転する地下駐車場のコンクリートで薄暗いひんやりとした空間が広がっていた。
駐車場といっても数十台は停められるであろう場所には車は一台も停まっておらず、目線の先にはベージュの扉があった。
そこまで近づいてみると、茶色く変色し、紙の端々がぼろぼろに破れている『管理部特別課はこちら』という張り紙が貼られていた。
先にもらっていた鍵を取り出し、鍵を開け、扉を開ける。
目の前に広がっていたのは銀色のエレベーターの扉だった。
エレベーターの前には内線電話が置かれていて、頭上には監視カメラが取り付けられる。
かなりのセキュリティが強化された場所だった。
仕事をしている最中、みんな涼しい顔をしている。
わたしがカントクにいくことにさぞ満足そうな顔つきで気持ち悪く感じた。
津島なんて、わたしとの関係が清算できてうれしいらしくて男性の先輩たちにわたしが引き継ぎの仕事をしている横で堂々と新しい彼女の自慢をしていた。
そんなことにいちいち反応しない。
悲しい顔、つらそうな顔はしない。
そう自分に言い聞かせ、平然とした態度で応戦する。
異動が決まった一週間後の当日の朝、事業部のみんなから挨拶があった。
「カントクへいってもあなたの味方だからね」
と同じ部署の人たちからは労いの言葉をかけられるけれど、全員嘘くさかった。
給湯室、女子トイレで聞かされた歓迎の言葉は一生忘れない。
部長にいたっては、カントク行きの鍵だと一本の銀色の鍵を渡し、向こうでも頑張ってとのんきに答えただけだった。
ダンボール1個に無造作に荷物をまとめて出て行く。
誰も泣きも引き止めもなく、社員たちは皆自分の仕事をはじめているのをみながら普通に部屋を出る。
こんなにみんなに尽くしてきたはずなのに。
悔しくなって泣きそうになるところを奥歯を食いしばって廊下を歩く。
エレベーターホールにつき、ダンボールを持ったまま下がるボタンを押す。
すぐに誰も乗っていないエレベーターがやってきて飛び乗った。
行き先は地下5階。
1階エントランスホールに降り立ち、受付の前を通ってお客と親しく話す野村加奈を横目でにらみをきかせつつ、地下専用のエレベーターのある隣のエレベーターホールへといき、地下5階のボタンを押した。
地下5階は地下駐車場に隣接された事務所らしい。
地下5階につくと、やっぱり目の前には窓はなく、無数の換気口のプロペラがむなしく回転する地下駐車場のコンクリートで薄暗いひんやりとした空間が広がっていた。
駐車場といっても数十台は停められるであろう場所には車は一台も停まっておらず、目線の先にはベージュの扉があった。
そこまで近づいてみると、茶色く変色し、紙の端々がぼろぼろに破れている『管理部特別課はこちら』という張り紙が貼られていた。
先にもらっていた鍵を取り出し、鍵を開け、扉を開ける。
目の前に広がっていたのは銀色のエレベーターの扉だった。
エレベーターの前には内線電話が置かれていて、頭上には監視カメラが取り付けられる。
かなりのセキュリティが強化された場所だった。

