10階に到着し、休憩室のある廊下を通った奥の事業部へ向かった。
すりガラスの入るベージュ色のドアの横の壁には、黒字で『事業部』と書かれた銀色のプレートが取り付けられている。
入る前にこのプレートをみながら、ひとつ深呼吸をして気持ちを切り替える。
ここはわたしとっては戦いの場である。
入り口に設置された入退室勤怠管理システムも兼ねた黒いパネルにカードキーにIDカードをかざし、左手でぐっと手持ちの黒い鞄の柄を握りしめ、右手でドアを開けた。
「おはようございます」
「おはよう」
フロアのなかは10名ほどのデスクが並ぶぐらいでそれほど広くはない。
先輩や後輩が次々にこちらへ顔をむけて声をかけてくれる。
みんながわたしをみてくれて、やっぱり自分がいるべき場所はここだな、と安心しながら入り口に近い自分のデスクについた。
ノートパソコンの電源をつけ、手際よくメールチェックを行う。
ここの仕事はホールの貸し出しに関する問い合わせやホールでのパンフレットの作成、送付、イベント会社との交渉など、大きなものや細かなものまで多岐にわたる。
近くでわたしの名前をかけてくれる先輩があれば、
「このパンフレット、いつもの部数でいいですね」
と飛びつくように仕事をし、後輩が問い合わせのFAXが来たと言えばすぐに
「問い合わせのFAXだよね。あ、これ、やっておくから、コピーお願い」
と、フォローする。
ありがとう。助かるよ。椎名さんがいてくれて仕事がはかどるよ。
どんどんいってくれ。
わたしはこの声を糧に仕事のなかで飛び回ることができる。
そう、わたしがいなくちゃ、この部署は回らないっていうことを証明するために。
事業部のなかを舞うように仕事をこなしていた。
すりガラスの入るベージュ色のドアの横の壁には、黒字で『事業部』と書かれた銀色のプレートが取り付けられている。
入る前にこのプレートをみながら、ひとつ深呼吸をして気持ちを切り替える。
ここはわたしとっては戦いの場である。
入り口に設置された入退室勤怠管理システムも兼ねた黒いパネルにカードキーにIDカードをかざし、左手でぐっと手持ちの黒い鞄の柄を握りしめ、右手でドアを開けた。
「おはようございます」
「おはよう」
フロアのなかは10名ほどのデスクが並ぶぐらいでそれほど広くはない。
先輩や後輩が次々にこちらへ顔をむけて声をかけてくれる。
みんながわたしをみてくれて、やっぱり自分がいるべき場所はここだな、と安心しながら入り口に近い自分のデスクについた。
ノートパソコンの電源をつけ、手際よくメールチェックを行う。
ここの仕事はホールの貸し出しに関する問い合わせやホールでのパンフレットの作成、送付、イベント会社との交渉など、大きなものや細かなものまで多岐にわたる。
近くでわたしの名前をかけてくれる先輩があれば、
「このパンフレット、いつもの部数でいいですね」
と飛びつくように仕事をし、後輩が問い合わせのFAXが来たと言えばすぐに
「問い合わせのFAXだよね。あ、これ、やっておくから、コピーお願い」
と、フォローする。
ありがとう。助かるよ。椎名さんがいてくれて仕事がはかどるよ。
どんどんいってくれ。
わたしはこの声を糧に仕事のなかで飛び回ることができる。
そう、わたしがいなくちゃ、この部署は回らないっていうことを証明するために。
事業部のなかを舞うように仕事をこなしていた。

