月曜の朝、会社の入り口手前で愕然とする。
いつものように自宅のワンルームマンションから電車に30分ほどゆられ、駅前に降り立つと、立ち並ぶ3つのビルがみえる。
駅から近い、一番背の高いビルへと向かう。
3つのビルは篠崎地所グループ所有のビルで、手前の大きなビルには商業施設とオフィス層、その上がホテル層、2番目のビルも商業施設とオフィス層、最後の奥のビルにはコンサートが行われるホールと分譲マンションのあるレジデンス層に分かれていた。
いつものように黒のA4サイズの資料がきっちり入る黒のカバンで会社へ向かう。
カバンの中のポケットの中に手をつっこみ、透明なIDカードホルダーに青いネックストラップがついたIDカードをとろうとした。
会社の中へ入るためには入り口で自分のIDカードを守衛の人に提示しなくては中へ通してもらえない仕組みになっている。
守衛室の前のエントランスホールで同じ会社の人間たちが次々に向かうなか、冷や汗が流れた。
カバンの中身を大理石の床の上にひっくり返しみたけれどまったくみつからない。
IDパスで勤怠処理を行っているので、忘れたら申請書を書いたりして面倒だ。
しっかりとカバンのポケットにしまっておいたはずだったのに。
動揺しすぎて確認を怠ってしまったみたいだ。
しかたなく、守衛室へいき、事情を説明した。
守衛さんは眠そうにあくびをして話をきいてくれた。
「あの、IDパスケースを落としてしまったんですが」
「もしかして椎名萌香さん?」
「え?」
「事業部の椎名萌香さんのIDパスケースを預かっているけど。顔写真は本人だからこれでいいかな」
「ありがとうございます」
守衛さんは机にあった受話器をとり、どこかへ電話をかけていた。
「守衛さん、ありがとうございました」
「ちょっと待って。届けたひとが会いたいっていう話だから」
始業30分前には必ず会社に来るくせをつけてよかったと自分を褒めながら、届けてくれたひとを守衛室の中で待たせてもらった。
いつものように自宅のワンルームマンションから電車に30分ほどゆられ、駅前に降り立つと、立ち並ぶ3つのビルがみえる。
駅から近い、一番背の高いビルへと向かう。
3つのビルは篠崎地所グループ所有のビルで、手前の大きなビルには商業施設とオフィス層、その上がホテル層、2番目のビルも商業施設とオフィス層、最後の奥のビルにはコンサートが行われるホールと分譲マンションのあるレジデンス層に分かれていた。
いつものように黒のA4サイズの資料がきっちり入る黒のカバンで会社へ向かう。
カバンの中のポケットの中に手をつっこみ、透明なIDカードホルダーに青いネックストラップがついたIDカードをとろうとした。
会社の中へ入るためには入り口で自分のIDカードを守衛の人に提示しなくては中へ通してもらえない仕組みになっている。
守衛室の前のエントランスホールで同じ会社の人間たちが次々に向かうなか、冷や汗が流れた。
カバンの中身を大理石の床の上にひっくり返しみたけれどまったくみつからない。
IDパスで勤怠処理を行っているので、忘れたら申請書を書いたりして面倒だ。
しっかりとカバンのポケットにしまっておいたはずだったのに。
動揺しすぎて確認を怠ってしまったみたいだ。
しかたなく、守衛室へいき、事情を説明した。
守衛さんは眠そうにあくびをして話をきいてくれた。
「あの、IDパスケースを落としてしまったんですが」
「もしかして椎名萌香さん?」
「え?」
「事業部の椎名萌香さんのIDパスケースを預かっているけど。顔写真は本人だからこれでいいかな」
「ありがとうございます」
守衛さんは机にあった受話器をとり、どこかへ電話をかけていた。
「守衛さん、ありがとうございました」
「ちょっと待って。届けたひとが会いたいっていう話だから」
始業30分前には必ず会社に来るくせをつけてよかったと自分を褒めながら、届けてくれたひとを守衛室の中で待たせてもらった。

