お兄ちゃんと秘密のキス




タンタンタン…





階段を上るその足音さえ、

今日は悲しく聞こえる。





あがっていくうち、


光の柱が差し込む、

屋上の入り口が見えてくる。









いよいよだ。




私はゴクンと

唾を飲み込んだ。









屋上に出た私たちの間の距離感が、

なんだかリアルだった。





屋良くんは、


私に背中を向け、



「話ってなに?」



そう言った。





目を見なくてすむのが
幸いだった。



目なんてみていたら、


きっと言い出せなかったと思う。