でも、私がいけないんだ。
屋良くんを怒らせてしまったのだから。
「分かった。じゃあやめないね。」
「ん。それでよし。
でも……」
「でも……?」
彼はニンマリと笑う。
「俺、ずっと横で
お前を見守ってるから。
変な男きたら嫌じゃん?」
"見守ってるから。"
そんな事でまたドキドキする。
でもね。
これは恋じゃない。
ただ、
屋良くんの中に
お兄ちゃんを見つけ出しているだけ。
私は所詮、その程度。
「行くか。」
「うん…!」
彼から差し出された手を握るのには、
罪悪感が湧いたけど、
それでも、
今はまだ恋人の私たちは
握らないと不自然な訳で。
ある意味仕方なく手を置いた。

