お兄ちゃんと秘密のキス



いつもの屋良くんじゃなかった。



優しくて
クールで
かっこいい屋良くんは
そこにはいなかった。



走っている屋良くんの横顔は、

まるで初恋を経験した小学生のように赤くて、

不機嫌で、

焦っていた。





ねぇ、何かした?




私の頭の中でまたも疑問が浮かぶ。















──「おい、シカトか?」


「え…あ、ごめん。
ボーッとしちゃって…」


「……。」






ガラッ






彼は私をつれ、空き教室に入った。