喋らない俺に、 クラスメイトたちは、 "無口な貴公子" とあだ名をつけた。 ある日の事だった。 いつも通り、俺は唯一落ち着ける、屋上にいた。 そこで、一人本を読む。 "中綿 ぐるん"と言う、無名の作家の作品だった。 名前のバカらしさの割りに、意外にシリアスな作品だった。 本を真剣に読んでいた、その時だった。 「へぇー。 中綿 ぐるんのファンなの?」 ほどよいアルトな声が聞こえた。