波奈の唇が動く。

「浮気スンナヨ」

波奈を睨み付けて向き直った。

波奈は五つ年上の女で、その割には束縛や我が儘が凄い。

女癖の悪い俺は、莉奈が来たら莉奈にくっつく気満々で、全く波奈の事など忘れていた。

「莉奈ちゃん、もうすぐ着くってよ。あんた下まで迎えに行ったれや」

小声で先輩が俺に耳打ちをした。

立ち上がって店を出て階段を下り、雑居ビルの外へ出た。

莉奈の姿が見当たらずに階段を上ろうとした時、また後ろから声がした。

「原田さん」

莉奈が立っていた。

黒のワンピースに真っ赤なピンヒール。

小さなハンドバッグを持って…金色の髪の毛を綺麗に巻いて、昼間とは明らかに違う莉奈が立っていた。