キミがいること

菜津子さんは最後まで実の娘である美波を見ようとしなかった。


菜津子さんに美波の痛みを気付こうともしなかった。


俺が文句でも言ってやろうかと思ったけど、美波にやめてと言われたから言えなかった。


そして美波は母親である菜津子さんともう会わないと言った。


自分がいると母の邪魔をする。母の邪魔だけはしたくないと言った。


美波もまた最後まで実の母親に自分を見せようとはしなかった。