私が智治のことを相談しているなかで、亮平が切り出した作戦。
それは彼らがばっちりデートしているところに行って、別れを告げようというものだった。
すでに私は別れを決めていたから、その作戦にのったのである。
亮平とまこちゃんが教えてくれたのは、このおしゃれなカフェのこと。で、舞台はこのカフェとなり、見計らって先に二人が入る。タイミングを見て私が入り、修羅場。
見られるのはちょっとあれだったが、私は悪いことをしていない。したのはあの二人。だから我慢した。わたしよりもの二人のほうがいたたまれなかったはずだし、今ごろSNSの件で喧嘩になっているかもしれない。載せたせいでバレた!とか。どうぞ喧嘩してください、っていう感じだ。
「あ~、すっきりした」
浮気して、かつ友人のふりする友人と付き合っていてなんになるのか。だったら本当に大切な友人と笑い会いたいし、大好きな人と一対一で向き合いたい。
これならまだ、智治が好きなのとか言われたほうがマシだったのではないか。
時間は、無駄じゃなかったとは思う。好きだという気持ちは本物だったはずだし、洋子とも友達だったはずだから。
しかし、これで終わり。
「よし、次行こう次!二人とも、奢ってよね~」
「亮平!頼んだ」
「俺かよ!」
恋人とは別れたが、すっきりした。
今度は次に向けて頑張るしかない。うじうじするよりも、前へ。
俺にたかるなよ!という亮平に、まこちゃんとともに笑った。
《私は暇じゃない》 了


