「デートかぁ……星野くんって意外と積極的……いや、もう出来てるのかな……?」

「え? ま、真理?」

出来てるとは、何が? 聞きたいような聞きたくないようなむしろ聞く必要も無いような、複雑な気持ちで名を呼ぶけれど、彼女は独走を続ける。

「なんか二人仲いいなとは思ってたんだけどやっぱりそうだったんだね……」

「いや待って」

私の言葉を聞かずに一人で納得している真理は、多分絶対何かを勘違いしている。この感じには覚えがあるんだけど、私の周りには人の話聞かない奴が多すぎるんじゃなかろうか。

「でも水臭いよ澄ちゃん! なんで私に教えてくれなかったの?」

「ええっ? 速水さん、わかっちゃったの!? ど、どうしてだろう、何か変なことしちゃったかな……」

逆の隣では叶多が驚いた声をあげる。けど多分こいつも何か勘違いしてる。真理がわかったのは叶多の正体じゃないぞ。

「あのちょっと、二人とも落ち着いて、」

「星野くん! いつから? いつから澄ちゃんとそういうことになってたの?」

「速水さん、ごめんね、でも決して松澤さんに悪いことにはしないから、このことは他言無用でお願いできないかな……?」

「だからさあ、」

諦めの境地に至りつつ声を出すけれど、だめだ。全く聞いてくれない。しかも二人の会話が噛み合ってないようで微妙に噛み合ってるから非常に厄介だ。