「……そう、すればいいじゃない」

私は自分の中の疑念を振り払うかのように、そう問いかける。

けれど、星野から返ってきた視線に、思わず口をつぐんだ。だってそれが、あまりにも、寂しげだったから。

「……出来ないんだ」

星野は私をまっすぐに見つめて、不思議なくらい落ち着いた声で、そう告げる。

「欠片が揃ったら、僕は一つの、とても小さいけれど【天体】になる。そうしたら重力やら電磁波やら、色々な問題が起こるから、僕は地球から出なければいけないんだ。けれど、欠片を放置しておくわけにもいかない。人間の手に渡ったら、宇宙研究は飛躍的に進歩してしまう。そうしたら──もしかしら、この地球の在り方すら変わってしまうかもしれないから」

だから、僕は欠片を探して、そして地球から去らなければならない、と星野は言う。

ああ、と、音にならない声が漏れた。星野は、本当に地球が好きなんだ。地球の在り方が変わろうと、彼には関係ないはずなのに。

「僕のいたところは、星間物質──塵とかが多いところでね。周りの星もこんなに綺麗に見えなかったんだ」

星野は静かに話し続ける。私は、何も言えなかった。