何を、願う? 私は、何を望んでいるんだろう? 星野の言葉が私自身の言葉となって、突き刺さる。駆け巡る。

例えば、例えばの話だ。本当に願いをかけるわけじゃない。そう、思っているのだけど。

何も答えない私に、星野は言葉を続ける。

「松澤さん、確かに、願い事は叶えてもらうためだけにあるものじゃないよ。君がそんなに他力本願な考え方ではないと、わかってる。でもね、もっているだけだって、十分なんだ。叶えたい願い、夢、目標とも言うよね。それを心の中にもっていることが、大切だと思うよ」

星野の言葉は、すっと心の中に入ってくる。

願い、望み、夢、目標。様々な言葉が、私の中を巡る。星が叶えてくれるなどというお伽噺めいたことでなくても、確かに、もっているだけでも大切だとは、思う。

それなのに。

「……わからない」

ぽつり、言葉が漏れる。

「何も、ないの。私が何を願っているのか、わからない……」

星野に、というよりは、自分自身に、私は言葉を紡いでいた。

ショックだった。何も無い自分が、遠くの星の、あるかどうかもわからない残像よりもよほど空っぽな存在に思えた。

「……そっか」

星野はそう言いながら、私の手をもう一度、優しく握った。責めるどころか、受け止めてくれるようなその手に、少しだけ安心した。