どのくらい、そうして空を眺めていたのだろうか。
空を赤く染め上げていた太陽は、遠くの稜線の向こうに姿を隠し、上の方から、深い紺色が広がっていく。
山の上ということもあり、太陽の姿が見えなくなるだけで、ぐっと夜の気配が濃厚になる。
「星野、欠片、探すんじゃないの」
思わず日の入りまで見届けてしまったけれど、時間は有り余っているわけではない。いつもならとっくに帰って勉強している時間だ。
だから、さっさと済ませて早く帰ろうという意を込めて、星野にそう問いかけた。
けれど彼は、ゆっくりと振り返って、曖昧に笑むだけで、行動を起こそうとはしない。
「……? そのために来たんじゃないの?」
そう訊ねるけれど、星野はそれに答えずに、先ほど太陽が沈んだ辺りを指さす。
「……あ」
つられて指の先に視線を向けて、私は呟いた。
オレンジと青がまだらに混ざる空の端に、明るい星が一つ、瞬いていた。
「一つだけじゃないよ。ほら」
星野はそう言うと、もっと上空、頭の上の方を示す。私もそちらに視線を移すと。
「わ……!」
思わず、感嘆の声が漏れる。そのくらい、沢山の星がそこには在った。幾つもの光を、地上に零していた。
控えめで穏やかな星の光は、こちらを見守るように私たちを見下ろしている。


