「……じゃあもしかして、僕ももう、『人間』なのかな」
星野は一瞬驚いたような顔をして、それから楽しそうに、少し悪戯っぽく、そう言う。
「私にとっては、そうかも」
だから私も、悪戯っぽく告げた。
そして二人して、可笑しくなって笑いを漏らす。
なんだかとっても、気分がよかった。
「あ、書き終わったみたいだね」
しばらくして、シャーペンを置いた私に星野が声をかける。私は頷きながら開いていた日誌を閉じた。
「ごめんね、任せちゃって。僕、どうにも字がうまく書けなくて」
「ううん。こちらこそ、色々手伝ってくれてありがとう」
申し訳なさげな星野に首を振ってみせた。
さきほど見せてもらったのだが、星野は字を書くのが苦手だった。どうにも力加減が難しいらしい。同じ理由で箸も苦労したらしく、昨日の夕食ではおじいさんとおばあさん──孝明さんと芳子さん、というらしい──から指導されたということだ。
だから日誌は私が担当していた、というわけだ。と言っても、別に一緒に出さなければならない、というわけでもないのに、ここまで付き合ってもらったわけだけど。
星野は一瞬驚いたような顔をして、それから楽しそうに、少し悪戯っぽく、そう言う。
「私にとっては、そうかも」
だから私も、悪戯っぽく告げた。
そして二人して、可笑しくなって笑いを漏らす。
なんだかとっても、気分がよかった。
「あ、書き終わったみたいだね」
しばらくして、シャーペンを置いた私に星野が声をかける。私は頷きながら開いていた日誌を閉じた。
「ごめんね、任せちゃって。僕、どうにも字がうまく書けなくて」
「ううん。こちらこそ、色々手伝ってくれてありがとう」
申し訳なさげな星野に首を振ってみせた。
さきほど見せてもらったのだが、星野は字を書くのが苦手だった。どうにも力加減が難しいらしい。同じ理由で箸も苦労したらしく、昨日の夕食ではおじいさんとおばあさん──孝明さんと芳子さん、というらしい──から指導されたということだ。
だから日誌は私が担当していた、というわけだ。と言っても、別に一緒に出さなければならない、というわけでもないのに、ここまで付き合ってもらったわけだけど。


