真理の言うよっしーこと担任の吉村は、ほぼ休み時間の度に仕事を押し付けてきた。クラスの掲示物のはりだしやら、資料の配布やら、ひいては吉村受け持ちの他のクラスの授業準備の手伝いやら。ペナルティだからと言われては強く拒否も出来ず従ったが、前半二つはいいとして、最後のは日直の仕事範囲に含まれていないだろうと言いたい。

「日誌忘れるとこんなにやらなきゃいけないんだね。私も気をつけなきゃ〜」

高みの見物めいた言い分に、じとりとした視線を向ける。

「気の毒に思うなら手伝ってくれたりしてもいいんだけど」

「ええ〜、澄ちゃんには星野くんいるし私は遠慮しとくよ」

「真理がやりたくないだけでしょそれ」

口実にされた星野はと言うと、少し離れたところで未提出者のノート回収を行ってくれていた。

この仕事を押し付けられたのは、4限目の終わり。ちょうど吉村の英語の授業で、しかも運悪くノート提出の日だったのだ。全員分集めて、しかも出席番号順に並べて持ってくるように命じられた。

「三井さん、ノートまだだよね? 出せそう?」

違和感なく溶け込み、容易くノートを回収していく星野を見て、不思議な気分になる。

私と話しているとズレた発言ばかりの星野だが、遠くから見ているだけだと本当に普通の高校生にしか見えない。あれが宇宙から来た、と思うと、とても不思議な気分だった。