叶多は、どこらへんにいるんだろう。故郷に、戻るのだろうか。
確か、叶多がまわっていた中心の恒星は、もう寿命が短いと言っていた。もうすぐ爆発が起きるとも、彼自身が言っていた。
地学を受験科目に選択したことで、少しは勉強した。爆発する恒星、ということは、太陽よりもかなり質量の大きい恒星のはずだ。爆発、というのは超新星爆発のことだろう。
その質量によって、超新星爆発のあとに白色矮星が残るのかブラックホールになるのかは違うけれど、どちらにせよ、超新星爆発に巻き込まれた小惑星がその姿を保っていられるはずがない。むしろ、超新星爆発の前に恒星の半径が急激に大きくなるので、その時に取り込まれてしまうかもしれない。
どう希望的に見ても、故郷に小惑星として戻った叶多が、そのまま残れる道がなかった。叶多はきっと、このまま宇宙の片隅で散ってしまう。私に、それを止める術はない。
「叶多」
届くはずもないのに、名前を呼ぶ。もし聞こえたら、彼は思い直してくれるだろうか?
雲一つない、絵の具を溶かしたような青空が、叶多の瞳の色のようだと思った。あんなふうに、混じりけのない水色で──


