「本当!? やった! 六時半に駅ってことになってるから、その時間に集合ね! 私、澄ちゃん来るって伝えてくる!」
「わかった」
言うが早いか、真理は教室を飛び出していく。講習受けてるみんな、と言っていたから、言い出しっぺの子の所にでも行ったのだろう。そういう集まりにはそれほど積極的に参加するタイプではなかったけど、いい機会だと思った。
「花火、楽しみだね」
叶多がこちらを見て、微笑む。少しだけ変化した思考回路をすっかり見透かされているような気がして少し気恥ずかしかったけれど、私もそれに微笑み返した。
「そうだね。花火、楽しみ」
* *
「集まったかな? 行こうか」
講習を終えてしばらく。約束の時間になって、駅前に集まった人数をざっと数えたリーダーらしき女の子が、そう声をかけている。
あんまり話したことは無いけれど、隣のクラスでよく目立つ子だ。多分彼女が、講習受けてる人で花火行こうと言い出したのだろう。
集まったのは、男女合わせて20人くらい。見知った顔が殆どだ。結構な人数だ、と思う。いつも仲のいい人としか出かけたりしないので、こういうのも新鮮だ。
ぞろぞろと歩き出す集団の後ろの方で、叶多の並んで付いていきながら、私はそんなことを考えていた。