どちらにせよ、そこまでだった。叶多の体温を感じた途端、何かが決壊した。ぼろぼろと、涙があとからあとから溢れてきて、私はそれを、止められなかった。
肩口に顔を埋めながら、私は泣いた。だんだん嗚咽が漏れてきて、そんな私の髪を、叶多はあやすように撫でてくれていた。
* *
「……ごめん、みっともないとこ見せて」
少しして、泣き止んで、ようやく落ち着きを取り戻した私は、しがみついて泣いたことが恥ずかしくなっていた。
「みっともなくなんてないよ。涙、というものを人間はもっているのだから、たまにそれを使ってあげないと、肝心な時に使えなくなってしまうと思うし。ん? いや、今が使う時だったのかな」
相変わらず独特の感覚の言葉を聞いて、思わずくすりとして少し落ち着いた。
「僕の見ている君はいつだってしっかりしていたけれど、でも、そうしなくてはいけない理由なんて無いんだよ。生き物は、星である僕からすると弱くて脆い生き物なんだもの」
「星視点、なんだ」
慰めてくれているのだろうけれどどこか面白くて、くすくすと音をたてて笑った。叶多はそんな私を見て、どこかほっとしたように目を細めた。
沢山、泣いた。涙と一緒に心の中のもやもやまで流れ出したのだろうか、不思議とすっきりしたような心地だった。叶多の言う通りだ。涙というものをもっているのだから、必要な時には抑えずに使っても良いのだ。


