「そ、そうなんだ……。僕、夏休みは澄佳に遊園地連れてってもらおうと思ってたのに……」
「私が連れてくの?」
思わず突っ込んだ。そこはせめて連れてくとか、一緒に行こうくらいにして欲しかった。
半分呆れながら、それでも叶多の言ったことを思案してみる。遊園地か。テレビか何かで見たのだろうか。
叶多と行ってはみたいけれど、あいにくこのへんには無い。かなり遠出になってしまうし、時間もお金もかかるだろう。第一お母さんが納得するとも思えない。……正直、無理そうだ。
私の表情を見て悟ったのか、彼は諦めたような笑みをこぼした。
「そっかぁ……仕方ないね。澄佳は偉いね。そんなに努力するなんて」
「……っ」
少し残念そうな、けれどどこか感心したように叶多に言われて、思わず言葉に詰まった。
偉い、のだろうか。そんなことは、ない気がする。周りの子だってやってることだし、それに。
……それに、何かの目標があってそうしているならともかく、私は自分でもどうしたいのかわからないまま、闇雲に勉強だけを続けている。
それが、すごく無意味に思えてしまい、時折、息が苦しくなる。


