「……結構集めたんだな。」
経歴以外にも様々な資料があり、読み終えてその情報量に驚いた。

「うん。でもさ、家族揃って一流企業勤務で兄は僕の後輩?なんて完璧すぎる家庭だよね。学校でも成績優秀のあの子が僕らと一緒にいて良いのかな?って思っちゃったんだよね。」

「まぁ全てあいつ次第だ。どうしても無理なら手放すし、この関係であいつを捨てるような家族なら俺が奪ってやる。」

不安そうに言葉をこぼした竜也に俺はそんな事を口走っていた。


「珍しいよね。隆がそんなに他人のこと気にするなんて。よっぽどあの子のこと気に入ったんだね。」

「あぁ、あいつがいると妙に落ち着く。」

「へぇ…………。」
それって気に入ってるだけじゃないんじゃないの?
もしかして……。
まぁ本人が自覚するまでほっといてみようかな?




「それより、計画の方はどうだ?近づけたか?」

「うん。だいぶ掴めてきたよ。」

「そうか、俺も少しずつ近づいてる。
竜也、最期まで付き合ってくれるよな?」

「もちろん。隆にもあの人たちにも、僕はずっと感謝してるからね。」


そう言って僕は隆とグラスを交わした。