「入れ」

 そう言われた目の前には、一つの木の扉があった

 「入っていいの?」

 「あぁ」


 確認した後、恐る恐る右手でドアノブを握る

 もし、この扉の向こうにお父さんがいたら…?

 そう思うと、扉を押せなかった

 「何してる、早く入れ」

 「…………」

 なかなか入ろうとしない私を見て、秋夜さんはため息混じりに言った

 「この扉の向こうには王様はいねぇよ」

 「本当に?」

 「あぁ」


 その言葉に安心する

 「……お前は会いたくないのか?」

 そんな私を見て、秋夜さんは言った

 「会いたくない」

 私の答えは早かった

 「何でだ?お前の本当のお父さんなんだぞ??」

 「例え本当のお父さんでも会いたくないわ。だって私を捨てた人よ!!?そう簡単にいい顔で会えると思う!?今更会いたいなんて言われても……無理よ」


 つい感情的になって言ってしまった

 でも、これが本音

 会いたくない