彼と彼女。元暴走族と元世界最強

「へぇ、ばれちゃったか。まぁいいや、んで?お前、何でこんなところにいんの?」

雰囲気が緩くなったと同時に少しの殺気。
この感覚を私は知っている。

(捨てられた。なんて言ったらこの人はどうするのだろうか。警察に届ける?それとも見捨てる?)


「おーい、聞こえてんの?」

「聞こえてる。」

「なんか言えない事情でも?」


今まで見下ろされていたが、屈んで顔をのぞき込んできた。目が合った。真っ直ぐで、でもどこか鋭い目は、なにもかもを受け入れてくれそうな、そんな気がして、

「す...てられ...た...」

気がつけば小さな声でそう言ってしまっていた。
どうやらその声が聞こえたらしく、

「そうか。じゃあ、うち来るか?」

そんな言葉がかえってきた。

(こんな見知らぬ人に迷惑はかけられないし、甘えてもいけない。)

「いい。行かない。知らない人の所なんて。」


知っている人なんていないのだけれども。