カワイイ子猫のつくり方

暫く笑いが収まらずにいる父親に。

「いつまで笑ってるんだ…」

朝霧は溜息を吐きながらも、若干照れを隠すようにジロリ…と睨んで言った。

「ああ、ごめん。でも嬉しくてね」

「………」

「伊織くんが敬語を使わずに、本音で話してくれることが何より嬉しいんだよ」

眉を下げて微笑む父に。

朝霧はばつの悪そうな顔をした。

「別に…。大した意味はないんだ。お祖父さまがいた時の名残がずっと抜けなかっただけで…」

「まあね。親父は本当に厳しかったからね。伊織くんにも色々苦労掛けて本当に申し訳なかったと思ってるよ」

「別に…。もう過ぎたことだし、父さんのせいじゃないさ。父さんだって色々我慢しながらここまでやって来たの、俺は知ってるしな」



全てを悟っているかのような、そんな息子の言葉に。


父は密かに心を打たれていた。

(スゴイな…子供って。放って置いてもどんどん大人になって行っちゃうんだな…)


自分は、この子の為にろくに父親らしいことをしてあげられなかったというのに…。



代々世襲で引き継がれて来た、町でもそれなりに大きな総合病院。

それを継ぐのは本当は長男である兄の役目だった。

次男で生を受けた自分は、生まれた時からその枠からは除外されていて、先代である父の期待も興味も全てが兄へと注がれていた。