カワイイ子猫のつくり方

実琴が物思いに耽っていると。

「さ、ここのお掃除は終わりっ。さあさ、ミコちゃんも一緒に下へ降りましょうね」

そう言って千代が優しく手を伸ばしてくる。

『ミコ』というのは、昨夜自分に付けられた名だった。


子猫に名前を付けようと言い出したのは千代だった。




「は?…名前?」

「そうですよ、猫ちゃんの名前。家族なんだから、いつまでも『猫ちゃん』じゃ可哀想ですよ」

当然だと言うように話す千代に反して、朝霧はあまり乗り気じゃない様子だった。

「別に困らないけど」

見るからに面倒くさそうだ。

だが、千代は折れなかった。

「駄目ですよ。でも、坊ちゃまがそんなに乗り気じゃないんなら私が勝手に付けてしまいますよ?良いんですか?」

「………」

千代はちらりと横目で朝霧を見やると、今度はわざと明るく実琴を抱きかかえて言った。

「そうねぇ、何ちゃんにしましょうか。あなたは女の子だから…ミーちゃん、とかどうかしら?」

「………」

「んー…。ミーちゃんだと、ありがちかしら?じゃあ『子』を付けて、ミー子ちゃんなんてどう?」

「……はぁ」

向こうで朝霧が片手で頭を支えて脱力している。

だが千代はこれでも、わりと真面目に考えているらしかった。

「ミー子ちゃん、どうかしら?」

今度は子猫(実琴)に同意を求めてくる。