カワイイ子猫のつくり方

(くーそぉーっ!私はアンタのそういう所が嫌いなんだっ)


すると、それに気付いた千代が「あら、急にどうしたの?」なんて作業の手を止めずにこちらに笑みを向けた。

その優しい笑顔に実琴は、はた…と動きを止める。

(…実際、そんなこと言われたら出ていけないよね。千代さん、本当に良くしてくれるし。昨日もすごく心配掛けちゃったみたいだし…)

彼女の優しい笑顔を曇らせたくない、と素直にそう思う。

でも朝霧の言葉はまるで、そう思うこちらの良心に付け込んでいるかのようで。

だが、実際によく考えてみたら違和感ありありだった。

(朝霧の言葉は、まるで私『子猫』が言葉を理解してること前提みたいだ)

その上でこちらの行動を試している。そんな感じだった。


『…なんだかなぁ』


実琴はベランダに通じている窓を眺めた。

朝、朝霧が僅かに開けていったそこは、掃除に来た千代がすぐに気付いて現在は閉じられている。


本当は、早く『実琴の身体』が入院している病院を探して向かわないと…と思っているのだけど。

でも、何だか朝霧が学校へ行っている留守の間に此処を出ていくことを躊躇ってしまっている自分がいるのも本当で。


(朝霧的には、どう…思ってるんだろう?)


去る者追わず…なんだろうか。

窓を開けていくことに関しては『自由にしていい』という意味も込められているのかも知れないけれど。