カワイイ子猫のつくり方

そんな朝霧の顔を見ていたら、言葉が伝わらないと分かっていながらも実琴は口を開かずにはいられなかった。

『一人で食べるよりは、さ。誰かと一緒の方がきっと何倍も美味しいよ。だからね、今だけ私が家族の代わりになってあげる。まぁ…そんなこと言っても、きっとアンタはいつもみたく「余計なお世話だ」って言うんだろうけどさ』

すると、朝霧が僅かに目を丸くした。


別に言葉を理解した訳ではないんだろう。

ただ、突然「にゃーみゃー」語り出した子猫に興味を持った程度のことだろうとは思う。

それでも、その表情が何だか朝霧らしくなくて面白くて。

実琴は思わず笑顔になると、ここぞとばかりに言ってやった。

『普段から、そんな風に自然にしてればいいのに…。本当に勿体ないね』


それこそ、その言葉の意味は勿論、笑顔を浮かべていることさえ朝霧には伝わっていないのだろうけれど。

実琴は何だか嬉しかった。

詳しいことはまだ分からないけれど、こういう環境や様々な境遇から今の朝霧があるんであろうことを僅かながら知ることが出来たし。

そして、何より少しだけ…。

この無愛想なクラスメイトを身近に感じることが出来た気がして。




そうして、二人が食事を終える頃。

突然、遠くで電話のベルが鳴り出した。