カワイイ子猫のつくり方

食堂として使われてるらしい大きめの長テーブルのある部屋へと朝霧が足を踏み入れると、そこには千代がいて。

テーブルの上には既に一人分の食事が用意されていた。


「伊織坊ちゃま、丁度いいところに。今お声を掛けに行こうと思っていたところでしたのよ。ささ、どうぞ温かいうちにお召し上がりくださいな」

千代は、いつもの優しい笑顔で朝霧を迎えた。

「ありがとう」

そして朝霧に抱えられている実琴にも千代は声を掛けてくれる。

「あなたにもミルクを用意してあげましょうね。さ、いらっしゃい」

そう言って自然な動作で朝霧の手から実琴を受け取る。

「みゃー」

「いい子ね」


千代に抱えられながら朝霧を振り返ると、朝霧は一人テーブルに着いたところだった。

テーブルの上には自分の家とは明らかに違う、ちょっぴり豪華で見るからに美味しそうな料理が沢山並んであった。

(千代さんってスゴイ。あんな料理も作れちゃうんだ…)

感心するところは沢山ある。

でも、そうじゃない。


そう。

実琴が気になっていたのは、まさに『これ』だった。


昨日からこの家にお世話になっているが、実は朝霧と千代以外の人間をまだ見ていないのだ。

(いつも、そうやって一人で食事をしているの?お父さん、お母さんは…?)

広い部屋の広いテーブルに、一人分の食事。

気にならない方がおかしかった。