カワイイ子猫のつくり方

「でも…実琴自身は動物好きだよ。多分…ネコも好きだと思う」

「……ふうん…」

朝霧は暫く何かを考えるようにしていたが、少し離れた所に紗季のことを待っている友人がいることに気付くと、

「引き留めて悪かったな。じゃ…」

手短にそれだけ言って、その場を後にしようとした。

だが…。


「あっ待って!朝霧くんっ」


意外にも紗季がそれを引き留める。

「…?」

「あのっ朝霧くんは昨日の…実琴の第一発見者だったんでしょう?誰かが言ってたの。実琴が救急車で運ばれた時、傍に小さなネコがいたって…。もしかして実琴はそのネコを助けようとして木に?」

控えめに聞いてくる紗季に。

「さあな」

朝霧はぶっきらぼうに返答した。

「俺は遠目にアイツが木から落ちるとこを見ただけだ。…確かにそれらしい猫はいたがな」

「そう、なんだ…」

紗季はどこか苦笑を浮かべている様子だった。

「あの子…そういうの放って置けない(タチ)だから。らしいと言えばらしいけど…」

「それで自分が怪我してたら世話ない」

そう切り捨てるように言って背を向けた朝霧に、紗季は「そうだね…」と呟いただけだった。


二人の会話は、それで終わりだったのだけれど。

離れていく紗季と友人との会話の中で、

「辻原さん、入院してるんだっけ?」

「うん、まだ意識が戻ってないって…」

そんな言葉が耳に届いて来たのだった。